子どもは私たち大人と同じく「思い」で行動します。子どもは、不快や悲しみを感じれば涙を流して大声で泣き、うれしいときには笑顔で全身を使って喜びます。そういう思いの表現のひとつに「噛みつき」という表現があります。
この表現と子どもの思いの関係については、たくさんの研究が行われてきました。その結果は、不快や不安、怒り、欲求、興奮、甘え、愛情、興味などの思いを子どもが表現できなかったり、表現しても大人や周囲の他人に受け止めてもらえなかったりすると、噛みつく表現が増えるというものです。よって、この子どもの思いをありのまま受容し、満たしてあげることが大切になります。
満2歳以下の子どもに「しつけ」は必要ないといってよいでしょう。何より必要なのは「愛されているという強い実感」です。
上記の子どもの思いや感情は、まだ幼い子ども自身では解消したり満たしたりできません。これを大人(親や保育士)が満たしてあげることで、子どもは「人に愛されること」を実感します。そして満たされて喜び安心する子どもに、親や大人が温かく優しい微笑みの表情を向けて、おだやかに子どもを抱いてあげることで、子どもは「快感表現」を身につけて、愛されていることを強く実感できます。この親や大人との「愛着関係」が、2歳くらいまでにしっかりできていれば、子どもの噛みつきは必然的に減っていくでしょう。また、噛みつきには子どもの成育環境も影響します。睡眠不足、家族間の人間関係が良好でない、子どもに無関心(過干渉)などの環境下では、子どもに噛みつきが多いようです。私たち大人がより良い成育環境を整えることは大切です。
もうひとつ、家庭で子どもが親や兄弟に噛みついた時、親が感情的に怒るなど激しく反応すると、子どもは恐怖や興奮を感じさらに噛みつくそうです。そんな時は、冷静に痛そうな顔や悲しい表情で「痛いから嫌だ」と子どもに伝えましょう。大好きな親が悲しむ顔は、子どもも見たくないので効果的なのだそうです。
噛まれたお子さんはとても痛い思いをし、親はとても心配になります。私たち保育者も可能な限り未然に防ぎ、噛みついた時には「それはいけない」と繰り返し伝えていきます。
そして、園と家庭が連携して子どもの思いを満たし受容して、しっかり愛着関係をつくり、子どもに愛されていることを強く実感させてあげたいと思います。
